理想的な入れ歯を作りたい
私は今、50代ですが、祖父(1900年生まれ・小児科医)、父(1932年生まれ・大学教員)共に歯が悪く、金属床の入れ歯がはいっていました。
1988年、まだ学生時代の入れ歯をつくる実習で、プラスチック製の入れ歯を見たとき、あまりにも分厚いので仲の良かった教授に、「金属製のもっと薄く軽いタイプの入れ歯をどうしてつくらないのか?」と素朴な質問をしたとき「保険の義歯はプラスチック製なんだよ」と悲しそうに諭されました。
それで当時、父に保険のプラスチック製の入れ歯をいれたことがあるか、尋ねると、「最初保険の入れ歯を使っていたが、下顎の前歯が抜けてから、分厚い入れ歯では発音が気になって、金属製にした、自費で15万円もした」。
まだ保険制度が1割負担の時代、通常の歯科治療が千円だったころなので「けっこう高いね」と私。
「高いね。一生もたないし、歯医者の先生には5,6年おきには歯茎もやせるし、それに歯を失うとつくりかえないといけない、といわれたよ」。
開業して20数年以上たち、その間に一番進歩したのは歯科材料です。
しかしその恩恵は 保険の入れ歯には反映されていません。
いま、しが歯科医院でおすすめしているのがノンクラスプ金属床です。
写真をみてください。
あなたなら、どちらの入れ歯を装着したいですか?
実は、左側が保険の入れ歯で、右側がしが歯科でお薦めしているノンクラスプ金属床の入れ歯です。
保険の入れ歯
これは下の歯型の模型に入れ歯をはめた状態です。
一番眼につくのは金属製のクラスプ(針金状)ですね。
目立つうえに、クラスプをかけた歯に力が集中しやすく、汚れもたまりやすく、どうしても不快に感じてしまいます。
また、裏側にみえるプラスチックの床も分厚くて、舌を動かしにくそうですし、プラスチックはたわむので、食べ物の固さや大きさによっては、入れ歯が動いて、歯茎に傷がつくかもしれません。
おすすめの入れ歯(ノンクラスプ金属床)
しが歯科でおすすめしている入れ歯です。
前述の保険の入れ歯とまったく同じ歯型です。
まず他人からみえるところには、クラスプはかけずに、歯茎と同色の特殊なレジンで歯を包み込んでいます。
しかも歯の下側だけ包んでいるので、他人からは唇に隠れてほぼ見えていません。
また、内側は薄い金属でできているので、動かず、汚れも付きにくく、舌の動きも邪魔せずに済みます。
また、人工歯も摩耗しにくい材質です。
不快感が少なく、歯茎との一体感があるので、しゃべるのも、食べるのも、見え方も自然です。
将来的に歯を抜かなくてはいけないときや、入れ歯が緩くなったとき修理が必要になったときは、ピンク色の部分だけ削合して
入れ替えたり、金属の部分をカットしてレーザー溶接したりできるので、清潔な状態を保ちやすいです。
保険でできる入れ歯の限界と
理想的な入れ歯
入れ歯を入れられている患者さんが考える
理想の入れ歯の条件は...
- 痛くない
- 違和感がない
- 口の中で動かない
- しゃべりやすい
- 食べ物の味が分かり、冷温がわかる
- 薄い
- 割れたり、欠けたりしない
- 人口の歯がすり減りにくい
- かみ合わせが変わりにくい
- ワイヤーが見えない
- 見た目が自然で入れ歯と感じさせない
これらのうち、どこまで保険の入れ歯でつくれるでしょう?
入れ歯に慣れている方なら、4番までは大丈夫でしょう。
入れ歯の治療方針の項目で後述するように、精密に歯型をとり、かみ合わせを正確な位置に決定しても、患者さんによっては、厚みや長さが気になったり、舌の動きがさまたげられたりで慣れるのに時間がかかる場合がよくあります。
そして、ワイヤー部の感触が悪かったり、食べかすが入りやすかったりと、いろいろ気になるところがでてきます。
私たち歯科医師は、なんとか患者さんに満足してもらおうと、調整しますが、プラスチック部分の厚みや、フィット感、さらには見た目の問題など、保険の材料ではなんともしがたい部分もあります。
費用優先の場合は、保険の入れ歯で慣れて頂かないと仕方ないのですが、歯科医師側としては、もっともっと快適な入れ歯を作れるのに!
と、はがゆい思いをすることがおおいのです。
保険制度はもちろん素晴らしいですが、昨今の医療費削減により、使える材料が限られ、最初から患者さんの「良く咬めてうれしい」という言葉が聞けずに悔しいかぎりです。
前章で述べたことの繰り返しになりますが、ワイヤーをかけた歯は、必要以上の力がかかり、歯を抜く力が働きます。
また、ワイヤーの材料も限られ、ゆるくなりやすいので、結果入れ歯が揺れだし、歯茎と入れ歯がすれて、痛みがでてきます。
保険外の入れ歯をつくるにあたり、患者さんが心配されているのは、
- 高い費用をだして、どれだけ長くもつのか、一生もつのか
- 将来また歯が抜けて、なんども新しく入れ歯をつくるのは、お金がかかる
- 一度、保険の入れ歯をためして、それが合わなければ保険外の入れ歯をつくりたい
ということだとおもいます。
入れ歯をいれる目的として、食事をおいしくいただいたり、見た目をよくしたり、言葉をしっかり発音すること以外にも、
- 残存している歯を守り、
- 上下のかみ合わせの高さや位置を維持し、
- 顎関節の異常を防ぐこと
もわれわれ歯科医師は気にかけるところなのです。
ですから、ゆるくなったまま、あるいは、ものがはさまりやすいまま人工歯が摩耗したまま、などが続くと、残っている歯や、顎関節に対して悪影響がでます。
それらをふまえて、入れ歯の材料としては、
- 薄い
- 熱を伝えやすい
- 残った歯にやさしい
- たわみにくい
- 設計に自由度がある
- 修理・補修が可能
といった材料が必要になります。
金属床の入れ歯の特徴
金属床の入れ歯の特徴 その1
(総義歯の場合)
薄くて快適!会話が楽しい!
金属床の入れ歯は、保険のプラスチックの入れ歯の約1/3の薄さです。
お口の中で違和感が少なく快適です。
金属床の入れ歯の特徴 その2
(総義歯の場合)
熱を伝えやすく、食事が美味しい!
金属床の入れ歯は、温度をよく伝えるので、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、美味しく食事が楽しめます。
金属床の入れ歯の特徴 その3
(推奨するノンクラスプ金属床)
残った歯にやさしい!
保険の部分入れ歯では、残っている歯にバネをかけますが、ノンクラスプ金属床の入れ歯はバネをかけた歯の負担を軽減することができます。
バネのかかった歯を抜かずに済む割合が、約半分というデータもあります。
■保険の入れ歯
■金属床の入れ歯
金属床の入れ歯の特徴 その4
たわみにくく、しっかり噛める!
骨格部分が金属なので、たわみにくく、噛む力がしっかり伝わります。
金属床の入れ歯の特徴 その5
設計に自由度がある!
金属床の入れ歯は設計に自由度があり、部分入れ歯の金属バネが目立たないように仕上げることができます。
また、お口の中の状態にもよりますが、入れ歯自体を小さく仕上げることも可能です。
※保険の入れ歯は、設計に保険制度の制限があります。
金属床の入れ歯の特徴 その6
修理・補修も可能なので、長く使える!
破損したり、歯が追加で抜けても修理・補修が可能です。
最新技術を駆使することで、修理した部分がわからないほどの状態に仕上げることができますので、永くご愛用いただけます。
■料金
ノンクラスプデンチャー(金属固定なし)
100,000円(税込120,000円)~
ノンクラスプ金属床(片側2本)
120,000円(税込132,000円)
ノンクラスプ金属床(3本~7本)
250,000円(税込275,000円)
ノンクラスプ金属床(8本~)
280,000円(税込308,000円)
■治療期間目安
約4週間
■治療のリスク
長期使用による緩みが生じる場合があります。(調整可能)